BESS DOME



STRUCTURE

最小にして最強の三角形

球体は、加わった力を全体で受け止めて逃がすことができる頑強な構造体。BESS DOMEは、その球に近い構造を三角形の集合によって実現しています。三角形という形状は「最小にして最強の構造体」とも呼ばれ、外圧に非常に強い性質を備えています。たとえば、四角形では外部からの力に対して簡単につぶれてしまいますが、三角形ならそのようなことはありません。四角形に筋交いを渡すと強度が高まるのも、2つの三角形で四角形を構成することになるからです。

画像:構造体

ジオデシック・ドーム理論

ドームの基本となるのは、20枚の正三角形からなる正20面体。正20面体は中心から各頂点までの距離が等しく、すべての頂点が球に内接しています。この表面の正三角形の各辺をさらに3等分し、それぞれの点を結ぶことで9個の三角形を膨らませれば、より球体に近い形のドームが出来上がります。

画像:3度数ドーム

こうしたドームの構造は、ジオデシックドーム理論という独創的な理論に基づいて考案されたもの。この理論は、「最強の構造体である三角形から、球体構造をつくり上げる」というもので、これまで人類が考案した建造物の中で最も合理的・効率的な建築技術と言われています。この斬新な理論を応用することで、ドームは地震や強風にも耐える、強靭な建築構造を実現してきました。

強靭なドーム構造

●強風に強い空力特性

三角形で構成されたドームは、他の建物からは考えつかないほどの強靭さをもっています。台風の強風にも楽に耐える強度。そして風圧に対して有利な球体形状。ドームの比類ない強さは、ブリザードが荒れ狂う極限の地にあるアンテナドームが証明しています。強風に対する強さの秘密は、空力特性の良さと、一点にかかる圧力を全体に分散する特性にあり、それらが想像以上の耐久力を発揮します。耐久性はドームがもつすぐれた特長のひとつなのです。

画像:流線型

●地震に強い柔軟構造

ドームは重心を低く抑えた球体構造となっています。そのため、激しい地震の揺れに対しても粘り強さを発揮します。従来の日本の木造建築のように屋根に重い瓦などを使い重心の高い建物や、柔軟性に欠ける建物は、強い地震の縦揺れや横揺れに対して十分に耐えることができません。ドームは頑強、かつ柔軟な構造で地震エネルギーを吸収、分散。地震の縦揺れ、横揺れに十分に耐える能力をもっています。地震が多発する日本でその真価を発揮します。

画像:シェル構造

独創的な室内空間

●熱効率にすぐれた空気循環特性

球体の特長として生み出される自然対流は室内を程よく循環し、室内上下の温度差を緩和しています。四角い部屋では天井や床部分の四隅に空気のたまりができ、これが室内の温度差を生み、快適な空間を妨げる要因のひとつとなっています。ドームでは、球体の壁に沿って空気がスムースに流れ、空気のたまりができにくい構造となっているのです。

画像:空気循環特性

●楽しく独創的な音空間

ドームは独創的な音をつくりだします。中央から発した音は全方向に広がり、華麗に響き渡ります。工夫次第で独自のサウンド空間をつくることもできます。木の仕上げではライブなサウンド空間に。内装材を吸音効果のあるパネルに変えれば、響きを抑えた音空間に仕上がります。映像やオーディオに興味のある方には、新しい発見ができる、こたえられない魅力をもった建物です。また、ドームの壁際に耳を近づけると、部屋の遠くで話す声が、囁きのように聞こえます。この不思議な現象も球状の天井がもたらすおもしろい効果のひとつです。

画像:音空間